腟洗浄とは?腟の内側を洗う意味と注意点を管理栄養士が解説
腟洗浄とは、腟の内側を洗い流すケアのことを指します。腟には自浄作用があり、腟の内側を洗う必要はないというのが、英国NHSをはじめとする公的機関に共通する見解です。一方で、月経後や閉経前後など、腟内の環境が変わりやすい時期に、医療機器を使ってやさしく洗うという選択肢もあります。
腟洗浄は、洗えば洗うほど清潔になるというものではありません。洗う範囲をまちがえると、腟を守っている常在菌のバランスが乱れることがあります。この記事では、腟洗浄とは何かを整理し、外側ケアとの違い、洗いすぎが及ぼす影響、受診を検討したいサインまでを解説します。
この記事でわかること
- 腟洗浄は腟の内側を洗うケアで、外陰部を洗う外側ケアとは対象範囲が異なる
- 腟の内側は自浄作用によって清潔に保たれ、洗いすぎると常在菌のバランスが乱れる
- 腟ケア用品は洗う範囲で区分され、腟内に使う製品は医療機器の認証を確認する
- おりものの変化やかゆみがあるときは自己判断せず医療機関を受診する
- 妊娠中や炎症があるときは、セルフケアの前に医師へ相談する
腟の内側と外側では、必要とされるケアの内容が異なります。自分のケアしたい範囲をはっきりさせたうえで、製品の区分を確認してみませんか。
腟洗浄とは何か?デリケートゾーンケアとの違い
腟洗浄という言葉は、腟の内側を洗うケアを指します。まずは、同じデリケートゾーンのケアとしてひとくくりにされがちな外側ケアとの違いを整理しておきましょう。

腟洗浄は腟の内側を洗い流すケア
腟洗浄とは、腟の内側に洗浄液や器具を入れて洗い流す行為を指します。英語ではドゥーシング(douching)と呼ばれ、海外の系統的レビューは「洗浄習慣」と「腟内洗浄」を別の項目として整理しています。
清潔にしたいという気持ちから行われることが多い行為ですが、腟の内側を洗うことは、腟が本来もっているしくみに外から手を加える行為でもあります。まずはこの点を押さえておくと、後のケア選びがぶれにくくなります。
外側ケアが対象にするデリケートゾーンの皮膚
デリケートゾーンケアという言葉で指されるのは、主に外陰部の皮膚を洗うケアです。対象になる範囲は恥丘から肛門のまわりまでで、小陰唇や大陰唇などが含まれます。NHSは、洗うのは腟のまわりの皮膚だけにし、腟の内側は洗わないよう明記しています。
外側を洗うときは、ぬるま湯と刺激の少ない無香料の洗浄料を使い、香料入りの石けんやジェル、デオドラント、香り付きのワイプは避けるのが基本です。落とすのは分泌物と老廃物までにとどめ、皮膚のうるおいを保つ成分まで洗い流さないよう意識するとよいでしょう。
腟洗浄が行われる主な理由
腟洗浄が行われる理由として最も多いのは、清潔にしたいという気持ちです。系統的レビューは、思春期から成人期の女性における腟洗浄の習慣が世界でも広く見られ、実施率が約30〜70%であると報告しています。ただし、これは主に海外の研究で得られた数値であり、日本国内の傾向を示すものではありません。日本国内の数値データは限られるものの、清潔にしたいという意識から自己流で行うケースが見られます。
清潔を保ちたいという目的そのものは自然なものです。大切なのは、その目的を腟の内側を洗うことで満たそうとするのか、外側のケアで満たすのかを、あらためて考えてみることです。
ここまでの内容を、腟洗浄とデリケートゾーンケアの違いとして表に整理しました。あわせて確認してみてください。
| 項目 | 腟洗浄(腟の内側) | デリケートゾーンケア(外側) |
|---|---|---|
| 洗う対象 | 腟の内側 | 外陰部の皮膚(恥丘から肛門のまわりまで) |
| 公的機関の見解 | 内側は洗わない | ぬるま湯と低刺激の洗浄料でやさしく洗う |
| 主に使うもの | 腟洗浄器・腟洗浄液 | 弱酸性の専用洗浄料 |
| 洗う頻度の目安 | 製品ごとに定められた使用頻度に従う | 1日1〜2回程度 |
腟洗浄が腟内フローラに及ぼす影響
腟の内側には、外から手を加えなくても環境を保つしくみが備わっています。ここからは、そのしくみと、洗いすぎが与える影響を見ていきましょう。

乳酸桿菌が腟内を弱酸性に保つしくみ
腟の内側では、乳酸桿菌(ラクトバチルス)とよばれる菌が優勢に存在しています。この菌がつくる乳酸によって、腟内はpH3.8〜4.4程度の弱酸性に保たれ、他の菌が増えすぎないように調整されています。
腟内の環境は、体の内側の変化に合わせて自然に切り替わる性質をもっています。だからこそ、外から洗い流す行為が、この調整のしくみに与える影響を理解しておくことが大切です。
閉経後に起きる腟内環境の変化
閉経を迎えると、腟の上皮に蓄えられるグリコーゲンが減り、乳酸をつくるもとが少なくなります。その結果、乳酸桿菌が減ってpHが7程度まで上がり、乾燥しやすくなるという変化が生じます。
この時期は、腟内の環境がこれまでとは異なる状態に切り替わるタイミングです。同じケアを続けていても心地よさが変わることがあるため、洗い方や洗う頻度をあらためて見直す機会になります。
おりものが腟を清潔に保つ自浄作用
腟には、おりものによって内側を清潔で湿った状態に保つ自浄作用があります。おりものは頸管粘液を含む分泌物で、腟をうるおし、感染から守る役割を担っています。正常なおりものは強いニオイがなく、透明から白色です。
このしくみがあるため、腟の内側は洗わなくても清潔に保たれます。NHSが腟の内側を洗わないよう明記しているのは、この自浄作用を前提とした考え方です。
洗いすぎが腟内フローラを乱すしくみ
系統的レビューは、腟洗浄を行うと乳酸桿菌が減り、細菌性腟症(腟内の細菌バランスが崩れた状態)の有病率が高くなることを報告しています。米国CDCは、腟洗浄を、腟の細菌の正常なバランスを乱して細菌性腟症のリスクを高める要因として挙げています。
影響は腟の内側にとどまりません。外陰部を繰り返し水だけで洗うと角質層が傷み、うるおいを保つ働きが低下して乾燥が進むことがあります。一般の石けんはpH8.5〜11程度で、デリケートゾーンの弱酸性環境には向いていません。
ここまでの内容を踏まえると、腟内フローラを乱しやすい要因は次のように整理できます。
- 抗菌作用のある洗浄料などで腟の内側を洗い流す
- 香料入りの洗浄料やデオドラントをデリケートゾーンに使う
- 1日に何度も洗ったり、こすったりして洗う
腟洗浄用品にはどんな種類がある?
腟ケア用品は、ひとことで腟洗浄用品とよべるものばかりではありません。製品ごとに対象とする範囲が異なるため、種類の違いから確認していきましょう。

腟ケア用品は洗う範囲で分けられる
腟ケア用品には、洗浄料、清浄ワイプ、ジェル、腟洗浄器、腟洗浄液などの種類があります。これらは、外陰部の皮膚を洗うためのものと、腟の内側に使うものに大きく分けられます。
選ぶときに最初に確認したいのは、洗う範囲です。外側のケアをしたいのか、腟の内側のケアをしたいのかによって、選ぶべき製品の区分が変わります。
外用の洗浄料は外陰部の皮膚に使う
外側のケアに使う洗浄料は、デリケートゾーンの皮膚をやさしく洗うための製品です。弱酸性に設計され、無香料・無着色・低刺激性を特徴とするものが多く、フェムウォッシュのような専用のフォームウォッシュもこの区分に入ります。
使い方は、2〜3プッシュを手にとってやさしく洗い、ぬるま湯で洗い流す流れです。1日1〜2回程度を目安にするとよいでしょう。
腟内に使う製品は医療機器から選ぶ
腟の内側に挿入して使う製品は、体への影響を考慮して管理された区分のものから選ぶのが基本です。フェムクリアは、薬機法上の管理医療機器として認証を受けている腟洗浄器です。
管理医療機器は、薬機法第2条第6項で「高度管理医療機器以外の医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なもの」と定義されています。腟内に挿入する製品を選ぶときは、この認証の有無が判断材料になります。
腟ケア用品は選ぶ前に表示を確認する
用品を選ぶときは、次の4点を順に確認すると判断しやすくなります。とくに腟の内側に使う製品は、区分の確認を省かないようにしてください。
- 洗う範囲が外側か内側かを製品の説明で確認する
- 腟の内側に使う製品は医療機器の認証番号の有無を確認する
- 洗浄料は弱酸性・無香料・低刺激性を基準に選ぶ
- 使用頻度の目安と対象年齢、使用期限を確認する
腟洗浄を続ける前に確認したい受診のサイン
腟洗浄をセルフケアとして続ける前に、医療機関での確認が必要な状態もあります。受診を検討したいサインを整理しておきましょう。

おりものの変化があるときに受診する
おりものの色・ニオイ・性状がいつもと違う、量が明らかに増えたという変化は、腟内の環境が乱れているサインかもしれません。NHSは、こうした変化がある場合は、かかりつけ医または性感染症クリニックに相談するよう案内しています。
自分で診断せずに医療機関へ相談することが大切です。受診の目安になるサインは、次のとおりです。
- おりものの色・ニオイ・性状がいつもと違う
- おりものの量が明らかに増えた
- かゆみやヒリヒリ感がある
- 月経中以外の出血、性交後の出血がある
- 排尿時の痛みや下腹部の痛みがある
- 発熱をともなう
かゆみがあるときは自己判断でケアしない
かゆみや痛みがあるときは、洗って清潔にすれば解決するとは限りません。腟炎の原因には、カンジダ、トリコモナスやクラミジアなどの性感染症、閉経にともなう体の変化、石けんなどの刺激、腟内に残ったタンポンなど、さまざまなものがあります。
原因によって対処が異なるため、症状があるときは医療機関を受診してください。NHSは、受診までの間は性交を控えることも案内しています。
妊娠中は使用前に医師へ相談する
妊娠中は腟内の環境が変化し、おりものが増えやすい時期です。フェムクリアの商品ページにも、妊娠中や局部に炎症などの異常がある場合は、使用の前に医師へ相談するよう案内されています。
米国CDCは、未治療の細菌性腟症が早産や低出生体重のリスクを高めると明記しています。妊娠中の腟洗浄についても早産リスクとの関連が報告されているため、迷う場合は使用を始める前に医療機関へ相談してください。
炎症があるときはセルフケアを控える
腟や外陰部に炎症があるときは、セルフケアを続けるよりも治療が優先されます。妊娠中と同様、局部に炎症などの異常がある場合も、使用の前に医師へ相談してください。
抗菌作用のある洗浄料で洗う行為は、かえって細菌性腟症のリスクを高めるという報告もあります。症状がある間は腟洗浄を控え、医療機関の指示に従ってください。
腟洗浄を取り入れるなら管理医療機器フェムクリア
腟洗浄の位置づけと注意点を踏まえたうえで、腟の内側のケアに医療機器を選びたい方に向けて、管理医療機器のフェムクリアを紹介します。腟内に挿入して使う製品だからこそ、区分と使い方の両方を確認しておきましょう。

フェムクリアは認証番号を持つ管理医療機器
フェムクリアは、1回1本の単回使用タイプの腟洗浄器です。薬機法上の管理医療機器として、認証番号第225AFBZX00021A04号を取得しています。
内容量は1.7g×5本で、価格は3,080円(税込)です。弱酸性の乳酸とヒアルロン酸ナトリウムを配合した設計で、購入は20歳以上の方が対象です。
フェムクリアの使い方
フェムクリアは腟内に挿入して使うタイプで、1回につき1本を使い切る単回使用の製品です。洗浄液の量を自分で調整する必要がなく、手順が決まっている点が特徴です。
腟の内側はデリケートな場所です。使用するときは無理のない姿勢をとり、製品の説明に沿ってゆっくり扱うようにしてください。
使用頻度の目安を守る
フェムクリアの使用頻度は、1日1本、週3〜4回程度が目安です。毎日続けることよりも、必要なときに間隔をあけて使うことが前提になっています。外用のフェムウォッシュは1日1〜2回程度が適切です。外側と内側では目安が異なります。
使用期限を過ぎた製品は使わず、腟洗浄を行う期間をあらかじめ決めておくと続けやすくなります。腟洗浄を取り入れるときに守りたいことは、次の3点です。
- 使用頻度の目安(1日1本、週3〜4回程度)を守る
- 1回1本を使い切り、使用期限を過ぎた製品は使わない
- 使用中に違和感を覚えたら使用を中止する
腟の内側のケアを医療機器で行いたい方は、区分と使い方の目安を確認したうえで、フェムクリアを選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
腟洗浄について、読者の方から寄せられることの多い質問にお答えします。あわせて参考にしてみてください。

Q. 腟洗浄は毎日行ってもよいですか?
A. 腟洗浄器を使う場合は、製品ごとに定められた使用頻度を守ることが前提になります。フェムクリアは1日1本、週3〜4回程度が目安です。腟には自浄作用があるため、毎日洗うことを習慣にするよりも、月経後や体の変化を感じたときなど、必要な場面を選んで使う考え方のほうが無理がありません。
Q. 月経中に腟洗浄をしてもよいですか?
A. 月経中は腟内の環境が変化し、デリケートゾーンの皮膚も刺激に敏感になりやすい時期です。腟洗浄器の使用は避け、外側をやさしく洗うケアにとどめてください。外側の洗浄は、月経中は朝と夜に行うのが目安です。
Q. 腟洗浄は腟内の菌のバランスを整えるために行うものですか?
A. 腟洗浄は、腟内の細菌バランスを整えるための行為ではありません。米国CDCは、腟洗浄を細菌の正常なバランスを乱し、細菌性腟症のリスクを高める要因として挙げています。腟の内側は自浄作用によって清潔に保たれるため、ケアの中心は外側をやさしく洗うことに置くのが基本です。
Q. 腟洗浄器を選ぶときは何を確認すればよいですか?
A. 腟の内側に挿入して使う製品は、医療機器として認証を受けているかを確認してください。フェムクリアは管理医療機器で、内容量は1.7g×5本、価格は3,080円(税込)です。あわせて、対象年齢が20歳以上であること、使用期限が設定されていることも確認しておきましょう。
Q. 腟洗浄をしたあとに違和感が出たらどうすればよいですか?
A. 使用を中止し、症状が続く場合は医療機関を受診してください。フェムクリアの商品ページにも、異常を感じた場合は使用を中止し医師に相談するよう案内されています。かゆみや痛み、おりものの変化があるときは、自己判断で洗い続けずに受診を優先してください。
まとめ
腟洗浄とは、腟の内側を洗い流すケアのことを指します。腟には自浄作用があり、腟の内側は洗わなくても清潔に保たれるため、英国NHSは腟の内側を洗わないことを明記し、米国CDCも腟洗浄を細菌性腟症のリスクを高める要因として挙げています。
一方で、月経後や閉経前後など腟内の環境が変わりやすい時期に、管理医療機器を使ってやさしく洗うという選択肢もあります。大切なのは、洗う範囲をはっきりさせたうえで、製品ごとの使用頻度の目安を守ることです。妊娠中や炎症がある場合は、使用を始める前に医師へ相談してください。
この記事のまとめ
- ✓腟洗浄は腟の内側を洗うケアで、外陰部を洗う外側ケアとは対象範囲が異なる
- ✓腟内は乳酸桿菌によって弱酸性に保たれ、おりものによる自浄作用が働いている
- ✓洗いすぎは常在菌のバランスを乱し、細菌性腟症のリスクを高める要因になる
- ✓腟ケア用品は洗う範囲で選び、腟内に使う製品は医療機器の認証を確認する
- ✓おりものの変化やかゆみ、妊娠中や炎症があるときは医療機関へ相談する



